星空のように

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情景が対照的に描かれています

太宰 治の斜陽の書評

ブルーになります
太宰の本は気持ちがブルーになります。個人的にはあまり好みの作品ではなかったが、ここまで読者の気持ちを落ち込ませるのか!と感心しました。そういう意味で影響力のある素晴らしい作品なのかもしれません。

「矛盾」の描写
太宰の作品の特徴は「矛盾」が繊細に描写され、かつ矛盾に対して肯定的である点にあると思う。

特に「斜陽」では登場人物が持つ矛盾同士の複雑な絡まり合いが絶妙なバランスで表現されていて、
太宰作品の中でも最も太宰の才能を感じることができる作品だと、僕自身は思っている。

母でありながら、上原の妻に微塵ともなろうとせず幸福を見出したカズ子
貴族出身でありながら貴族社会を嫌い、麻薬に手を出してまで死ぬ気で「大衆」になろうとした直治
生き切るために血を吐いてまで飲み歩く上原
などなど…

ひとたび世の中の構造に目を向ければ、そこにはたくさんの矛盾が満ちている。
人はそのことを潜在的に知っているから、太宰の作品によって真理だとか共感めいたものを感じ取るのだろう。

矛盾に相対したとき、登場人物の答えもそれぞれ違った。
革命という形で自分の真理を創り上げたカズ子、犠牲となり死を選んだ直治。
しかしそこに優劣をつけるなく、肯定しているところに太宰の優しさみたいなものを感じた。

理解するというよりも、感じ取ることに神経を集中するべき作品だと思う。


昭和時代の軌跡を振り返るのに、読んでおいて損はない作品
たまにはかっこつけて難しそうな古典文学を読んでみようと思い、
手にとりました。

読んでみたら、確かに難解で、
文中に何度も蛇の描写が出てくるのですが、
物語の伏線として何かをほのめかしているのだろうと思いながらも、
私には最後までよく理解できませんでした。

また、主人公のかず子は上原さんに何度もラブレターを書いていますが、
携帯メールで用が済んでしまう現代に生きる私には、
ラブレターでのアプローチというのが非常に新鮮に感じられました。

「斜陽」というタイトルどおり、
日本の華族は衰退していく運命にあるが、
かず子は30を境に新しい人生を踏み出していくという、
情景が対照的に描かれています。

斜陽

グラビス
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by yukaning1 | 2010-10-25 17:02 | 注目

ほんわかとなりました


文章は正直、稚拙な部分もあるし、言い回しが単純だなと思う部分も多くありました。
でも正直に、自分のきもちのまま、あったことを書いた。
相方さんへの愛情たっぷりに。
それがすごく伝わってきて、最後まで一気に読める面白い本でした。
京大に入る為とか、受験に必要な情報とかを期待して読むと
ああこれだけか…と思うところはあるかもしれません。
でも、これはそこが売りではなく、
やっぱり書いている人の人柄、そして相方さんのぶっとんた
理屈をつきつめた姿(もはやキャラクターといってもいい)
が面白いのだと思います。
これを読むとロザンが好きになりますよ。

受験の先に見ていた夢。
新大阪に向かう新幹線のグリーン席で
菅ちゃんを見ました。
それがきっかけで、以前本屋さんで見たこの本を買ったんです。
ロザンってほんとに仲が良いんだって思いました。

宇治原が芸人になるために京大に入ったのがすごい。
だって世の中には大学に入ることが目的化している人がほとんどだから。
有名大学に入りさえすれば安泰みたいな。
ま、僕もその一人で、いつの間にかその他大勢になっていました。
ドラクエだったら町人Aですよ。
悪の大魔王が復活して大変だ?って叫ぶだけで、
倒しに行こうとも思わず、ふつうに生活してる。

京大芸人
ストーリーを楽しむほかに、ロザン宇治原さんの勉強法や考え方を知ることができておもしろかったです。教科書にアンダーラインをひかない理由は、教科書にのっていることは全部大事だから…目からウロコが落ちました。

京大芸人
菅 広文

ANNASUI 財布
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by yukaning1 | 2010-10-23 12:33 | 読書

破壊のち再構築

いたって平凡なサラリーマンが、脆くも崩れてしまった世界の中で何かを守るために立ち上がる。
何か新しいものを創造するためには、等価値をもつものを破壊し、壊れたものを再構築することが求められるのでしょう。


「自分の力を過信して、転ぶんだ。でも、そこから先は、ふたつのパターンしかない。怖がって限界の中で折り合いをつけていくか、諦めずに限界以上のものを追い求めるか」

鈴木一さんと朴舜臣の師弟関係が良かった
ゾンビーズシリーズ第2弾で、主人公は、鈴木一というサラリーマン。娘の遥が不良高校生に襲われ、刃物を手にして不良高校生がいる高校に乗り込もうとしたが、高校を間違えゾンビーズのいる高校に入ってしまった。その縁から、鈴木はゾンビーズの朴舜臣についてトレーニングをし、不良高校生を倒すため、体を鍛えるのである。鈴木の頑張りに対し、言葉数は少ないながらも、応え、支えている朴舜臣に対して、いい師弟関係だと思う。

やっていることはむちゃくちゃなんだろうが、最後はスカッとする終わり方で気持ちよかった。娘のために、最後まであきらめずに立ち向かっている姿はかっこいいなあと思う。こんなお父さんについて娘は幸せだと思うよ。

今回は、ゾンビーズの中でも朴舜臣だけがすごく際だっていた。



「真の勝者は鷹となって大空を羽ばたき、限りない自由へと近づく」
本書は直木賞受賞作『GO』の原作者・金城一紀が発表し、2005年7月9日に映画化(監督:成島出、主演:岡田准一、堤真一)公開された青春エンターテイメント小説である。

妻と娘を大切にしながらいたって平凡な人生を歩んできた47歳の中年サラリーマン・鈴木一。ある日、自分の大切な一人娘・遥がボクシングの高校チャンピオン・石原勇輔に乱暴された事で失意に陥り、復讐を試みた発端から奇妙な高校生のグループと知り合い、父親として大切なものを取り戻そうとする鈴木と彼に協力する高校生たちが過ごした一夏の物語である。

通常、乱暴された娘の復讐を晴らそうとする中年男の物語を設定すると陰惨な展開を印象づけるが、本書は読了後に一言“爽やか”以外に言葉が見つからない程、読後感として清々しい気持ちにさせる。まるで『ロッキー』を見ているような印象を与えるのだ。

登場人物も鈴木に闘い方を教えるために夏休みを費やして彼を鍛える在日朝鮮人の高校生・朴舜臣(パクスンシン)や鈴木に協力する高校生・南方、山下、板良敷、萱野といったグループ仲間たちが携帯電話を持たなくても互いに心が繋がりあう彼らの関係が心地よい。
また他にも、会社の上司で同期でもある藤田が事情を知り、留守中の鈴木の仕事は自分が預かるから目の前の事に専念しろという粋な計らいや帰宅途中で定時刻にいつも乗り降りするバスの運転手と同じ顔ぶれの乗客たちが、毎回バスと競争して距離を縮める鈴木に徐々に関心を示し、最後の日にベスト記録でゴールをした鈴木に感激して潤んだ目で親指をたててガッツポーズするバスの運転手や拍手を送る乗客たちにも心地よさを覚えた。

そして最後に鈴木一が父親として娘に呼びかける言葉〈メッセージ〉もよかった。


フライ、ダディ、フライ)
金城一紀

フェンディ 財布
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by yukaning1 | 2010-10-18 21:37 | 読書

『姿三四郎』のモデルとなった男

なぜか武田惣角の方が目立ってしまう…
姿三四郎のモデルと言われる、講道館の西郷四郎の小説です。
タイトルどおり、『山嵐』で相手をばったばったと倒していくシーンも満載です。

ただ、この作品の前作にあたる(と言ってよい)『惣角流浪』に続けて読んだせいか、大東流合気柔術の武田惣角の方が結構目だってしまうところがいくつかあります。

フィクションでしょうが、『大東流』の名前の由来が、仮説的にこの本の中で登場します。

全体的に読み物としても面白いので、買って損はないと思います。

『姿三四郎』のモデルとなったといわれる男
会津藩士の家に生まれ、戊辰戦争後、家老であった西郷頼母の養子となり、上京して講道館に入門、得意技の「山嵐」で並み居る強敵を投げ飛ばし講道館にその人ありと謳われ、富田常雄の小説『姿三四郎』のモデルとなったといわれる西郷四郎が主人公の時代小説。
四郎をただの柔道が強い武道家としてだけではなく、夢と現実のギャップに悩み苦しむ一人の男として描いており、また、一世を風靡し有名だった講道館時代のことばかりでなく、あまり知られていない、そこを出奔してから後のことも書かれていて、とてもおもしろく読めました。
武田惣角や李書文など、知る人ぞ知る人物も登場、格闘技ファンの人にも一読をおすすめします

『姿三四郎』のモデルとなった男
会津藩士の家に生まれ、戊辰戦争後、家老であった西郷頼母の養子となり、上京して講道館に入門、得意技の「山嵐」で並み居る強敵を投げ飛ばし講道館にその人ありと謳われ、富田常雄の小説『姿三四郎』のモデルとなったといわれる西郷四郎が主人公の時代小説。
四郎をただの柔道が強い武道家としてだけではなく、夢と現実のギャップに悩み苦しむ一人の男として描いており、また、一世を風靡し有名だった講道館時代のことばかりでなく、あまり知られていない、そこを出奔してから後のことも書かれていて、とてもおもしろく読めました。
武田惣角や李書文など、知る人ぞ知る人物も登場、格闘技ファンの人にも一読をおすすめします。

山嵐
今野 敏

ベネフィーク
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by yukaning1 | 2010-10-18 18:04 | 生活

仮想空間をコンセプトにした短編集

本作は同一コンセプトの短篇を一冊にまとめたものです。
幾度と無く絶滅の危機を迎えた人類は、生き残るため様々な手段を用意する。地球を脱出し火星を新天地とするもの、大規模な仮想空間を新たな新天地とするもの、そしてどちらの選択もせず、地上で強く生きていくもの...本来はただの短篇の一つだったものが、長い年月をかけて同一コンセプトの短篇が描かれ、一冊にまとめられた時には、最初から計算された連作集のようになっている。物語が一つ増えるごとに世界は広がっていく、いや世界は変容していく、といったほうが良いかもしれない。こんな風に世界観が格調されるとは、おそらく作者自身考えていなかったんじゃないかと思います。
意識こそが人間なのか、記憶が人間なのか、肉体をもって人間とするのか、ならば人間は脳なのか内臓なのか...「人を人足らしめているものは何か、そして人はどこから来てどこへ行くのか?」は火星三部作で魂の在り方を訴えたように、作者のライフワークなのかもしれません。
肉体が滅んだ後も仮想空間で生き残り続ける意識というのは目新しい仕組みだなぁと思いました。間違いなくおもしろかったです。

マイベスト。
この本は、今の所(2007年8月1日)自分内での神林長平作品のベストだと言えるものだ。

執筆時期が隔たっている為だろうか、作家・神林長平の幾つもの面が見える短編集だ。世界観の様なものはあるが、各短編はかなりバラバラな印象を受ける。だが、それが結果として他の作品にはない独特な空気を作っている。その初期から円熟期まで、幾つもの「神林長平」が燦然と輝いているようだ。一冊の本とは思えない程、内容が濃い。
いわゆるSFが苦手でも大丈夫。この作品集はハードSF的な読み難さは全く無く、しかし内容的には日本SFの到達点の一つである神林長平イズムを存分に堪能出来る。

SFか、神林長平か、短編小説か、この内の一つが好きな人なら、この本は誰にでもお勧め出来るだろう。ゆっくり味わって欲しい。

わかりにくかった
 仮想空間で死んだ人間の魂はどこへ行くのか、という煽り文句に惹かれて読んだ。しかし、問題提起の箇所もどういう解答を示しているのかもわからなかった。
 面白いは面白い短編集だが、神林長平の作品の半数を占める「私にはよくわからない作品」のリストに加えてしまった。

小指の先の天使 (ハヤカワ文庫JA)
神林 長平

ゴルフウェア
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by yukaning1 | 2010-10-17 21:04 | 生活

鼻持ちならなくて面白くて

意地悪
「作者の目線」が遺憾なく発揮。作者にしては有り難く読みやすい。くみしやすいという訳ではないのですが。誰を指したわけでも、伏せ字にしたわけでもないのにあれは自分のことだと言う人間たちがいたとかいないとか。

賢くて意地悪な本
高橋源一郎は金井美恵子のことを「賢くて意地悪なひと」と評していたが、まさにその通り。この本を一冊読むだけで作者の頭の良さは十分に伝わってくるし、意地の悪さは十二分に伝わってくる。
過去と現在が錯綜し未来について数行で語られる。そして延々と過去の描写が続いたりする。非常に読者に不親切な書き方をしているのだが、そもそも作者は読者に親切であろうなどとは思ってないようだ。
作中に登場する「現役作家」の文章では様々な作家の文章を引用し痛烈に皮肉ったりもする。ただ、読書量の豊富でない僕にはどの文章が誰の文章なのかちっとも分からないのが少し残念だった。
僕には少し、合わなかったかな。
にしても、時折挟まれるセリフに頷かされることがあったことも事実。技量のある作家さんだと思います。

鼻持ちならなくて面白くて
金井美恵子の本は読んだのがまだ3冊ですが,
非常に不思議な感心のさせられ方をします。
少女というものは大概,鼻持ちならなくて,人と生活の表れ様すべてを見下しているものですが,
少女を極めると金井美恵子になるなぁと言う感心です。
本小説は不思議なつくりをしています。
文章教室に通い始めた主婦(モノローグのあふれる不倫実行中)とそれを取り巻く人々を,典型的文学文章で彩って,
才能の無い文章と愚かしい男女を徹底的に唾棄し,意地の悪さ全開で物語りは進みます。
うまい,うますぎるっていう感動と
身も蓋もなさすぎるよっていう感歎に身を任せて,するるるるんと一息に読み終えました。
ああ,少女になまじっかあふれる才能を与えてしまうと,おばさんになれずに金井美恵子になってしまうのだ。恐ろしいことです。

文章教室 (河出文庫―文芸コレクション)
金井 美恵子

カネボウ
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by yukaning1 | 2010-10-17 15:00 | 注目

特に男性には、受け入れがたい

うーん、ちょっとつらいかも。
角田光代さんの本で読んだことがあるのは
「しあわせのねだん」というエッセイだけで、
そのとき感じた印象は
実にさばさばとした気持ちのいい女性、だった。

だから今回、題名に惹かれて、「しあわせのねだん」の
角田さんに惹かれて、装画を担当しているトヨクラタケルさんに
惹かれて読んでみたら、ぎょっとしてしまった。
途中で読むのを辞めるのは悔しいから読破したが、
読んでいながら「早く読み終わろう」と思うぐらい
なんというか、希望とか明るさが感じられない短編集でつらかった。
だからといって深い絶望とか、裏切りとか、
そういうわけでもないが、淡々としているのが余計に
じりじりとつらさを増していくような気がしたし、
「え!ここで終わるの?」というような終わり方に
宙ぶらりんになってしまった気がした。


特に男性には、受け入れがたい作品かなあと思う。

ほんの些細な悪意のゆくえ
ふとした日常、誰の心にも影を落とす小さな黒い塊のような悪意が、
ちょっとしたことで揺さぶられたり呼び覚まされたりしてしまう短編集。

特に「うつくしい娘」は、やるせない涙を誘った。
昔は美しいと言われ、今も若く見られ喜ぶ一人娘を持つ工場で働く母。
そんな彼女は悪感情を溜め込んだ醜い娘との息苦しい生活を強いられていた。
虚しさと絶望感から娘へ殺意に近い感情を徐々に膨らませてゆく中、
娘の身に危険が及んだときの彼女の母親としての心情、悲しき姿に胸が痛んだ。
表題作「おやすみ、こわい夢を見ないように」では、
元カレに執拗な嫌がらせを受け学校で孤立している女子高生が、
ひきこもりの弟の協力を得て復讐へのトレーニングをはじめる。
いざ元カレを前にして、ふがいない態度を取ってしまった彼女が
その苛立ちの矛先を向けた相手が……とは意外だった。
「私たちの逃亡」は、周囲の人間への敵意をむき出しにし抱え込んだまま
自分の世界に閉じこもってしまった少女を、そこから逃げ出した少女が
記憶をたどり見つけ出そうとする物語。
前者の少女が抱く憎悪の塊、わからなくもない。
それだけに彼女のその後の足取りが非常に気になった。

角田さんの毒気を帯びた文章が、それぞれの主人公たちの暗い方向へ
傾いてしまう心理をリアルに描いていて、後味は決して良くないながらも
暗い濃い世界観を堪能できた。

タイトルと装丁は可愛いが
子供の話かと思って書店で手に取って読みました。
ちょっとイメージとは違いました。作者の得意とする普通の人が体験する怒りやら、楽しみやら、安堵だったりが根底にはあります。

読後感は正直気持ちのいいものでは有りません。夫婦関係の些細な溝だったり、担任教師への憎しみ、我が子への憎悪。誰でも持ってるかもしれない、もしくは感じる可能性のあるそういった感情にスポットライトが当てられています。ある意味閉じられた世界の持つ恐ろしさを感じる作品でした。
ファンにとってはコレクションの1つでしょうが、代表作にはならないでしょうね。

おやすみ、こわい夢を見ないように (新潮文庫)
角田 光代

プラダスポーツ
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by yukaning1 | 2010-10-16 23:13 | 注目

饒舌な悪ふざけ

ギャグ小説
かなり尖った小説ではないでしょうか。
全8編の連作短編集で、フォント、段組み、フォーマット、紙の質まで微妙に違う。
極めつけはひも状のしおりが計四つも付いている。
原価は相当高そう……
なんて読者がそこまで考えなくても良いでしょうってことで。

そんな本の作りだけ取っても『ギャグ小説』が成り立つのではと思いますが、
こち亀やバカボンとのコラボ作品あり、有名作家の名前をちょいと変形させたり、
知っている人には思わず笑いがこみあげてきます。
特にこち亀はキャラを熟知しているだけに、小説ではどうなるか期待して読んでました。

小説の真髄であったり、リアリティーがないから漫画的という表現はおかしいなんて議論も展開してくるので、ギャグの中にも勉強になるくだりもあります。


饒舌な悪ふざけ連作集
この世にこれだけ「ギャグ漫画」というものが隆盛しているのだから、「ギャグ小説」なるものがあってもいいではないか、ということで作られた作品であるらしい。作者自身の作品では「どすこい。」という傑作もあるのだから、これは目新しい事業ではないけれど、それでもやはり小説でギャグを成立させるのはかなりの難事業なのだろう。「どすこい。」に比べるとかなり見劣りし、この作品集で成功しているのは、有名まんがを取り入れた「ぬらりひょんの褌」と「巷説ギャグ物語」だけだと思うからである。とくに後者は赤塚不二夫との共作である。ギャグまんがなのに読んでいて少し泣けたのは、古き良き60年代を思い出させる、今の若い人にはわからない昔の赤塚スターたちの影がほの見えたからであった。私にとって、この厚い本を読んだ価値は、ここだけにあったと言ってよい。

これ以外の作品は、要するに弱いものいじめで楽しむ悪ふざけ作品集である。キャラクターの個性が弱いので、スラップスティックコメディとしても大分無理がある。読みながら私がずっと思い続けたのは「時間が勿体ない」ということであった。

まんがなら(比較の問題として)簡単なことが、小説ではこれだけ難しい。私以上の世代の人には無闇にまんがを貶める人が少なくないけれど、この作品は期せずして、まんがというジャンルが立派に小説と対峙しうることを証明したと思う。

申し訳ないが…つまらない
京極夏彦の作品はうぶめの夏から全てになる目を通してきました。自分は大好きな作家さんです。ですが…生まれて初めて最後まで読めない本がこの本でした。この本が好きな方には申し訳ないけど、こち亀ぐらいですね。面白いと思ったのは。まー、毎回同じ展開ただイライラする長いだけの文章…凄い面白い物書ける人だけにこれはないなぁって感じです。他の作品は好きなんですけどね。これはおすすめしません

南極(人)
京極 夏彦

クロエ バッグ
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by yukaning1 | 2010-10-16 18:48 | 話題

揺れ動くココロ

明るくて、ホットな小説です。
角田光代さんの温かい系が好きな人にはぜひお勧め!
男の登場人物も皆いい人ばかり。
読んだあとは、主人公のダメダメな妊婦をいとおしく思えるはずです。
妊娠経験がない角田さんの想像力と表現力に脱帽の一冊でした。

読むだけで、妊婦の気持ちになれる
この本、私は角田光代氏の日記的エッセイだと思って読みはじめました。日付のタイトルや挿絵があったので・・・。

ところが、いきなりの出だしが「性交した」でした。読んでいるうちに、この本は妊婦を主人公とした小説だったのだと理解しました。と、余談でした。

なるほど妊婦とは、こんなことを考えて、こんな行動をするものなのかと、興味深かったです。別に堕ろしたいわけじゃないけど、妊娠したことにやや後悔する主人公の気持ちなんて、男ながら共感できます。筆者は子供を産んだことがないそうですが、こんなリアルな世界を作り出せる想像力には感動を覚えます。

子供を産んだことがある人よりも、産んだことのない人こそ、読むべき小説です。読むだけで、想像妊娠できそうな気がします。ノーテンキな夫の存在が、いつもキレ気味の妻と味わい深いコンビネーションを醸し出しています。

揺れ動くココロ
妊娠が分かってから産まれるまでの妊婦さんの心理を
日記風に書いてはる小説。

素直に喜べなかったり、
夫にイラついたり、
不安にさいなまれたり、
すっごく幸せを感じたり、
揺れ動く様子がリアルに描かれていました。

角田さんは出産の経験がないとのことなのに、
こんなお話書けてすごいな?。

先にあとがきを読んじゃってたので、
小説やってことはわかっていたけど、
それでも時々、エッセィを読んでるような気になりました。


予定日はジミー・ペイジ
角田 光代

ジルスチュアート コスメ
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by yukaning1 | 2010-10-15 16:54 | 生活

どうしようもないから、あまく感じる

まさしく甘くてほろ苦い
どの話も、ありがちなハッピーエンドの恋愛小説ではない。
もし普通の小説なら「ここで終わり?」と思ってしまうような終わり方をする話もあるが、
きっとそれでいいのだと思う。
だからこそ、最後にポツンとほろ苦い切なさを残せるんだろう。
登場人物のリアルな感情や、どうしようもない想い、涙の出ないもどかしさ。
読み終わったあと、ちょっと胸が苦しくなるこの感じがなんだかとてもたまらない。
一人で、そっと静かに読みたい一冊です。


スイートビタースイートな短編集
『ハニービターハニー』です。
『陽ちゃんは親友の沙耶香の彼氏だ。でもわたしは彼と寝ている。沙耶香のことは大切だけれど、彼に惹かれる自分を止められない―(「友だちの彼」)。ライブでボーカルの男性に一目惚れし、誘われるままホテルへ。初体験。…あたしは本当にこういうことがしたかったの?(「もどれない」)甘やかで、ほろ苦く、胸のちぎれるような切なさをたたえた全9話。人気歌人初の恋愛小説が文庫オリジナルで登場。』

元々歌人である作者がケータイサイトで発表した恋愛短編小説を加筆修正して集めた短編集です。9作収録しています。いずれもあっさり読める短い作品です。
歌人だけあって、描写はさほど厚くありません。その代わり凝集された言葉とその行間に読みどころが集まっている感じです。エンターテインメント的な面白さではなく、どちらかというと純文学寄りの、心理描写メインです。
行間はともかく、小説としての文章表現は、まだまだこれからといったところです。

9作品のうち全てが、20代前半くらいの女性が主人公。元々ケータイサイト作品ということもあって当然ここがメイン読者ターゲットです。
8作品が、大きくくくれば男1女2の三角関係です。さすがにちょっとワンパターン気味とも思いました。また、登場する男のキャラクターなどもちょっとテンプレ的であったとも言えます。
巻末解説で島本理生さんが言うように、全作品に何らかのお菓子がキーアイテムみたいな感じで登場します。その使い方が非常に巧みで印象的であり、そういう部分からもハニービターハニーという短編集タイトルは適しているように感じました。
評価は★4から欠点を差し引いて★3。『ハッピーアイスクリーム』で見せてくれた瑞々しい感性を活かして、今後の作品を出してくれることに期待したいです。

どうしようもないから、あまく感じる
タイトルどおり、あまくて、ほろ苦い短編9作のつめあわせ。

友達のカレシとこっそりつきあっている女の子の「友だちの彼」、
同棲している彼に、他に好きな子ができたと打ち明けられる女の子の「恋じゃなくても」、
同級生に片思い中の大学生の「甘く響く」、
中学時代の片思いの相手との再会から始まる「スリップ」、
ライブで知り合った先輩の友達と一瞬の恋をする女の子の「もどれない」、
カレシのケータイに残る他の女の子とのメールを見てしまった女の子の「こなごな」、
くだらない男だとわかっていながら好きで離れない女の子の「賞味期限」、
自分とはまったく違う頭のいいカレシの元カノに苛立つ女の子の「ねじれの位置」、
別れたカレシからのメールに返信してしまう女の子の「ドライブ日和」。

女の子といったけれど、主人公たちはほとんど20代くらいの女性。
この本に詰められたお話は、ほとんどがハッピーエンドではなくて
むしろどうしようもない恋の日常を切り取ったような、苦味のあるお話が多いです。
でも読んでいて湧き上がってくるのは、「恋ってあまいものなんだ」という想い。
登場する男性の多くは、無邪気にずるくて、
彼らに恋している主人公たちはそのことに傷つけられているのに
そのどうしようもない感じが、あまく感じる、そんなお話でした。
各話には、印象的にスイーツも登場して、そんなお話の印象を形作っています。

ハニー ビター ハニー (集英社文庫)
加藤 千恵

香水
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by yukaning1 | 2010-10-14 19:16 | 読書