星空のように

特に男性には、受け入れがたい

うーん、ちょっとつらいかも。
角田光代さんの本で読んだことがあるのは
「しあわせのねだん」というエッセイだけで、
そのとき感じた印象は
実にさばさばとした気持ちのいい女性、だった。

だから今回、題名に惹かれて、「しあわせのねだん」の
角田さんに惹かれて、装画を担当しているトヨクラタケルさんに
惹かれて読んでみたら、ぎょっとしてしまった。
途中で読むのを辞めるのは悔しいから読破したが、
読んでいながら「早く読み終わろう」と思うぐらい
なんというか、希望とか明るさが感じられない短編集でつらかった。
だからといって深い絶望とか、裏切りとか、
そういうわけでもないが、淡々としているのが余計に
じりじりとつらさを増していくような気がしたし、
「え!ここで終わるの?」というような終わり方に
宙ぶらりんになってしまった気がした。


特に男性には、受け入れがたい作品かなあと思う。

ほんの些細な悪意のゆくえ
ふとした日常、誰の心にも影を落とす小さな黒い塊のような悪意が、
ちょっとしたことで揺さぶられたり呼び覚まされたりしてしまう短編集。

特に「うつくしい娘」は、やるせない涙を誘った。
昔は美しいと言われ、今も若く見られ喜ぶ一人娘を持つ工場で働く母。
そんな彼女は悪感情を溜め込んだ醜い娘との息苦しい生活を強いられていた。
虚しさと絶望感から娘へ殺意に近い感情を徐々に膨らませてゆく中、
娘の身に危険が及んだときの彼女の母親としての心情、悲しき姿に胸が痛んだ。
表題作「おやすみ、こわい夢を見ないように」では、
元カレに執拗な嫌がらせを受け学校で孤立している女子高生が、
ひきこもりの弟の協力を得て復讐へのトレーニングをはじめる。
いざ元カレを前にして、ふがいない態度を取ってしまった彼女が
その苛立ちの矛先を向けた相手が……とは意外だった。
「私たちの逃亡」は、周囲の人間への敵意をむき出しにし抱え込んだまま
自分の世界に閉じこもってしまった少女を、そこから逃げ出した少女が
記憶をたどり見つけ出そうとする物語。
前者の少女が抱く憎悪の塊、わからなくもない。
それだけに彼女のその後の足取りが非常に気になった。

角田さんの毒気を帯びた文章が、それぞれの主人公たちの暗い方向へ
傾いてしまう心理をリアルに描いていて、後味は決して良くないながらも
暗い濃い世界観を堪能できた。

タイトルと装丁は可愛いが
子供の話かと思って書店で手に取って読みました。
ちょっとイメージとは違いました。作者の得意とする普通の人が体験する怒りやら、楽しみやら、安堵だったりが根底にはあります。

読後感は正直気持ちのいいものでは有りません。夫婦関係の些細な溝だったり、担任教師への憎しみ、我が子への憎悪。誰でも持ってるかもしれない、もしくは感じる可能性のあるそういった感情にスポットライトが当てられています。ある意味閉じられた世界の持つ恐ろしさを感じる作品でした。
ファンにとってはコレクションの1つでしょうが、代表作にはならないでしょうね。

おやすみ、こわい夢を見ないように (新潮文庫)
角田 光代

プラダスポーツ
[PR]
# by yukaning1 | 2010-10-16 23:13 | 注目

饒舌な悪ふざけ

ギャグ小説
かなり尖った小説ではないでしょうか。
全8編の連作短編集で、フォント、段組み、フォーマット、紙の質まで微妙に違う。
極めつけはひも状のしおりが計四つも付いている。
原価は相当高そう……
なんて読者がそこまで考えなくても良いでしょうってことで。

そんな本の作りだけ取っても『ギャグ小説』が成り立つのではと思いますが、
こち亀やバカボンとのコラボ作品あり、有名作家の名前をちょいと変形させたり、
知っている人には思わず笑いがこみあげてきます。
特にこち亀はキャラを熟知しているだけに、小説ではどうなるか期待して読んでました。

小説の真髄であったり、リアリティーがないから漫画的という表現はおかしいなんて議論も展開してくるので、ギャグの中にも勉強になるくだりもあります。


饒舌な悪ふざけ連作集
この世にこれだけ「ギャグ漫画」というものが隆盛しているのだから、「ギャグ小説」なるものがあってもいいではないか、ということで作られた作品であるらしい。作者自身の作品では「どすこい。」という傑作もあるのだから、これは目新しい事業ではないけれど、それでもやはり小説でギャグを成立させるのはかなりの難事業なのだろう。「どすこい。」に比べるとかなり見劣りし、この作品集で成功しているのは、有名まんがを取り入れた「ぬらりひょんの褌」と「巷説ギャグ物語」だけだと思うからである。とくに後者は赤塚不二夫との共作である。ギャグまんがなのに読んでいて少し泣けたのは、古き良き60年代を思い出させる、今の若い人にはわからない昔の赤塚スターたちの影がほの見えたからであった。私にとって、この厚い本を読んだ価値は、ここだけにあったと言ってよい。

これ以外の作品は、要するに弱いものいじめで楽しむ悪ふざけ作品集である。キャラクターの個性が弱いので、スラップスティックコメディとしても大分無理がある。読みながら私がずっと思い続けたのは「時間が勿体ない」ということであった。

まんがなら(比較の問題として)簡単なことが、小説ではこれだけ難しい。私以上の世代の人には無闇にまんがを貶める人が少なくないけれど、この作品は期せずして、まんがというジャンルが立派に小説と対峙しうることを証明したと思う。

申し訳ないが…つまらない
京極夏彦の作品はうぶめの夏から全てになる目を通してきました。自分は大好きな作家さんです。ですが…生まれて初めて最後まで読めない本がこの本でした。この本が好きな方には申し訳ないけど、こち亀ぐらいですね。面白いと思ったのは。まー、毎回同じ展開ただイライラする長いだけの文章…凄い面白い物書ける人だけにこれはないなぁって感じです。他の作品は好きなんですけどね。これはおすすめしません

南極(人)
京極 夏彦

クロエ バッグ
[PR]
# by yukaning1 | 2010-10-16 18:48 | 話題

揺れ動くココロ

明るくて、ホットな小説です。
角田光代さんの温かい系が好きな人にはぜひお勧め!
男の登場人物も皆いい人ばかり。
読んだあとは、主人公のダメダメな妊婦をいとおしく思えるはずです。
妊娠経験がない角田さんの想像力と表現力に脱帽の一冊でした。

読むだけで、妊婦の気持ちになれる
この本、私は角田光代氏の日記的エッセイだと思って読みはじめました。日付のタイトルや挿絵があったので・・・。

ところが、いきなりの出だしが「性交した」でした。読んでいるうちに、この本は妊婦を主人公とした小説だったのだと理解しました。と、余談でした。

なるほど妊婦とは、こんなことを考えて、こんな行動をするものなのかと、興味深かったです。別に堕ろしたいわけじゃないけど、妊娠したことにやや後悔する主人公の気持ちなんて、男ながら共感できます。筆者は子供を産んだことがないそうですが、こんなリアルな世界を作り出せる想像力には感動を覚えます。

子供を産んだことがある人よりも、産んだことのない人こそ、読むべき小説です。読むだけで、想像妊娠できそうな気がします。ノーテンキな夫の存在が、いつもキレ気味の妻と味わい深いコンビネーションを醸し出しています。

揺れ動くココロ
妊娠が分かってから産まれるまでの妊婦さんの心理を
日記風に書いてはる小説。

素直に喜べなかったり、
夫にイラついたり、
不安にさいなまれたり、
すっごく幸せを感じたり、
揺れ動く様子がリアルに描かれていました。

角田さんは出産の経験がないとのことなのに、
こんなお話書けてすごいな?。

先にあとがきを読んじゃってたので、
小説やってことはわかっていたけど、
それでも時々、エッセィを読んでるような気になりました。


予定日はジミー・ペイジ
角田 光代

ジルスチュアート コスメ
[PR]
# by yukaning1 | 2010-10-15 16:54 | 生活

どうしようもないから、あまく感じる

まさしく甘くてほろ苦い
どの話も、ありがちなハッピーエンドの恋愛小説ではない。
もし普通の小説なら「ここで終わり?」と思ってしまうような終わり方をする話もあるが、
きっとそれでいいのだと思う。
だからこそ、最後にポツンとほろ苦い切なさを残せるんだろう。
登場人物のリアルな感情や、どうしようもない想い、涙の出ないもどかしさ。
読み終わったあと、ちょっと胸が苦しくなるこの感じがなんだかとてもたまらない。
一人で、そっと静かに読みたい一冊です。


スイートビタースイートな短編集
『ハニービターハニー』です。
『陽ちゃんは親友の沙耶香の彼氏だ。でもわたしは彼と寝ている。沙耶香のことは大切だけれど、彼に惹かれる自分を止められない―(「友だちの彼」)。ライブでボーカルの男性に一目惚れし、誘われるままホテルへ。初体験。…あたしは本当にこういうことがしたかったの?(「もどれない」)甘やかで、ほろ苦く、胸のちぎれるような切なさをたたえた全9話。人気歌人初の恋愛小説が文庫オリジナルで登場。』

元々歌人である作者がケータイサイトで発表した恋愛短編小説を加筆修正して集めた短編集です。9作収録しています。いずれもあっさり読める短い作品です。
歌人だけあって、描写はさほど厚くありません。その代わり凝集された言葉とその行間に読みどころが集まっている感じです。エンターテインメント的な面白さではなく、どちらかというと純文学寄りの、心理描写メインです。
行間はともかく、小説としての文章表現は、まだまだこれからといったところです。

9作品のうち全てが、20代前半くらいの女性が主人公。元々ケータイサイト作品ということもあって当然ここがメイン読者ターゲットです。
8作品が、大きくくくれば男1女2の三角関係です。さすがにちょっとワンパターン気味とも思いました。また、登場する男のキャラクターなどもちょっとテンプレ的であったとも言えます。
巻末解説で島本理生さんが言うように、全作品に何らかのお菓子がキーアイテムみたいな感じで登場します。その使い方が非常に巧みで印象的であり、そういう部分からもハニービターハニーという短編集タイトルは適しているように感じました。
評価は★4から欠点を差し引いて★3。『ハッピーアイスクリーム』で見せてくれた瑞々しい感性を活かして、今後の作品を出してくれることに期待したいです。

どうしようもないから、あまく感じる
タイトルどおり、あまくて、ほろ苦い短編9作のつめあわせ。

友達のカレシとこっそりつきあっている女の子の「友だちの彼」、
同棲している彼に、他に好きな子ができたと打ち明けられる女の子の「恋じゃなくても」、
同級生に片思い中の大学生の「甘く響く」、
中学時代の片思いの相手との再会から始まる「スリップ」、
ライブで知り合った先輩の友達と一瞬の恋をする女の子の「もどれない」、
カレシのケータイに残る他の女の子とのメールを見てしまった女の子の「こなごな」、
くだらない男だとわかっていながら好きで離れない女の子の「賞味期限」、
自分とはまったく違う頭のいいカレシの元カノに苛立つ女の子の「ねじれの位置」、
別れたカレシからのメールに返信してしまう女の子の「ドライブ日和」。

女の子といったけれど、主人公たちはほとんど20代くらいの女性。
この本に詰められたお話は、ほとんどがハッピーエンドではなくて
むしろどうしようもない恋の日常を切り取ったような、苦味のあるお話が多いです。
でも読んでいて湧き上がってくるのは、「恋ってあまいものなんだ」という想い。
登場する男性の多くは、無邪気にずるくて、
彼らに恋している主人公たちはそのことに傷つけられているのに
そのどうしようもない感じが、あまく感じる、そんなお話でした。
各話には、印象的にスイーツも登場して、そんなお話の印象を形作っています。

ハニー ビター ハニー (集英社文庫)
加藤 千恵

香水
[PR]
# by yukaning1 | 2010-10-14 19:16 | 読書

もう少し膨らみが欲しい感じ

ケイリン?競輪?
手首を骨折し、バレーをやめ、くさった生活をしている女子高生が主人公
自転車競技に出会い、競技者になる様子を描く青春スポーツ小説

正直言って、私は自転車競技のことはほとんど何も知らない素人です
ロードバイク・ピストバイクの機構の違いは本作を読み、なんとなくわかりました
しかし、その機構の違いが競技とどう関わってくるのか等は良くわかりませんでした
ケイリン・競輪の違いもわかったような、わからないような???
競輪を競技化したものが、ケイリンという理解でよいのかな???

自転車競技について、もっともっと知りたくなりました
シリーズ化してくれないかな!

本作の大部分は練習のシーンで占められています
もっと、試合の様子も見てみたかった

後、このタイトルはいかがなものかと・・・

ケイリンと競輪の違いはどこへ?
オビには「ご存知ですか?ケイリンと競輪の違いを」と、ありますが
中身では実際にはっきり出てきません。
競輪に至っては物足りない内容で不満です。
これでは初めての方も混乱してしまいそうかな感じ。
さらに誤記もポロポロ。「1コーナーから2センターを抜けて2コーナーに」とか。
あとトラックレーサーの事をピストバイクと表現してるのがどうにも脱力です。
ここは日本ゆえ「ピストレーサー」と表記してほしかったです。
まあ主人公が女の子なので汗臭くなく爽やかでキレイな描写になっており
初めての方には読みやすいかと思います。

もう少し膨らみが欲しい感じ
体育会少女のスポーツ青春もの という感じで爽やかに読める。
だが、ちょっと爽やか(さらり?)すぎる感じも。
引きこもりだったという設定も、力をつけてく様子も軽く触れた程度なので、
話にのめり込むところまでは行かず、少し物足りない感が。

(自転車って面白そう とは思うけど、やってみよう とは思わない感じの程度)

自転車に興味があったり、知識があったりすればそうでもないのだろうがと、
もう少しずつ割増で書いてくれたら、もっと楽しめたのかもと思ってしまった。
もしかしたら、プロローグがなくて最後にがんっとそれを持ってきたら盛り上がったのかな?

あねチャリ
川西 蘭

マークジェイコブス
[PR]
# by yukaning1 | 2010-10-13 00:09 | 注目